かゆみ 肝臓

原因不明のかゆみ、もしかすると肝臓が原因かも

皮膚を見る限り何ら異常が無いにも関わらず、強いかゆみを感じるときがある、という方はいらっしゃいませんか?もしかすると、それは皮膚に異常があるのではなく、肝臓に何らかの病気を抱えているためにかゆみが出ているのかもしれません。

 

 

 

肝臓とかゆみの間にはどんな関係があるのでしょうか。また、かゆみを抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。詳しくご説明します。

肝臓の病気を原因とするかゆみ

一般的にかゆみといえば蚊などの虫に刺されることで起こるもの、金属や保湿クリームに含まれる成分が肌に合わないことで起こるかぶれなどの「見た目に影響するもの」が一般的です。アトピー性皮膚炎などもこの枠に入るでしょう。

 

 

 

しかし、かゆみの中には一見何ら異常が無いにも関わらずかゆみの症状が出てしまうものも存在します。その中でも代表的なかゆみの原因は肝臓病を由来とするものでしょう。

 

 

 

肝臓病を原因として起こるかゆみは全身にかゆみの症状が出ることが多く、市販のかゆみ止めなどではほとんど効果が無い場合が多いです。

 

 

例えば肝臓の病気として代表的な肝硬変肝炎などを患っている方は、しばしば皮膚にかゆみがあると訴えることがあります。

 

 

 

これらの病気は自覚症状も少なく、なかなか見つけにくい病気として有名です。昨今は原因不明のかゆみは肝臓病のサインということが認知され始めてきたため、かゆみを感じ始めてすぐに治療を開始したため大事にならずにすんだという例も増えてきているのだとか。

 

 

 

かゆみは肝臓病を原因としたものでなくとも感じることがあるため、なかなかかゆみを原因に肝臓の病気を疑うというのは難しいですが、皮膚に異常が無いにも関わらず強いかゆみが現れるのであれば、一度医師に相談してみるのが良いでしょう。

肝臓の病気とかゆみの関係

肝臓が不具合を起こすと全身にかゆみが出る、と聞いても正直皮膚と肝臓の間にどんな関係性があるのかイマイチ想像がつきませんよね。この2つの関係をご説明するには少々科学的な話をしなければいけません。

 

 

肝臓が病気になることでかゆみの症状が出るのは「オピオイド」と呼ばれる成分のバランスが崩れしまうことが原因だと考えられています。

 

 

 

強力な鎮痛剤であるモルヒネと酷似しているオピオイドのうち、かゆみを引き起こす原因となっているのは「βエンドルフィン」と呼ばれる成分です。

 

 

 

肝臓が元気であればβエンドルフィンが引き起こすかゆみを抑制するために「ダイノルフィン」と呼ばれる成分が同時に分泌されているのですが、肝臓に不具合が起きるとダイノルフィンの分泌量が減少してしまいます。

 

 

しかし、このオピオイドのバランスが崩れることによって起こるかゆみは肝臓病の患者さんであればすべての人に起こるというものではありません。

 

 

 

実際に肝臓病を患っている方を検査してみると、重度の肝臓病を患っている方でもオピノイドのバランスがほとんど崩れていない方、軽度の肝臓病なのにも関わらず強いかゆみを訴える方の両方がいらっしゃったそうです。

肝臓病が原因のかゆみは薬では抑えられない

肝臓病が原因でオピオイドのバランスが崩れてしまった場合、残念ながらそれによって起こるかゆみを薬でコントロールすることは出来ません

 

 

 

かゆみ止めの主力として幅広く用いられている抗ヒスタミン剤などの薬は、あくまでヒスタミンなど、かゆみの原因物質に対して作用するものなので、脳に直接信号を届けるオピノイドの働きを抑制するにはほとんど効果がないのです。

 

 

 

肝硬変などによって起きる胆汁の減少を原因としたかゆみの場合は抗ヒスタミン剤によってかゆみを食い止めることが出来る場合もありますが、根本的なかゆみの原因であるオピオイドのバランスを正常化しないことには、すべての肝臓病由来のかゆみを取り除くことは出来ないでしょう。

 

 

しかし、最近は「ナルフラフィン」と呼ばれる薬が登場し、この薬を使うと抗ヒスタミン剤では取り除くことの出来なかったかゆみを解決することが出来る場合があるようです。

 

 

 

ナルフラフィンは肝臓で分泌されるかゆみ抑制成分であるダイノルフィンと似た効果を持っており、かゆみを引き起こす成分であるβエンドルフィンの働きを抑制してくれます。

 

 

 

元々ナルフラフィンは透析患者によくあるかゆみを抑制するために開発された薬だったのですが、2015年以降は肝臓病を原因として起こる病気に対しても使うことが出来るようになりました。

 

 

とは言っても、ナルフラフィンは初期の肝臓病や軽度な肝臓の疾患に対しては処方されませんので、肝臓病を原因とするかゆみすべてを解決してくれるものとは言い難い状況にあります。

 

 

 

余談ですが、ナルフラフィンは保険適用内の薬であるため高額な医療費を支払うことなく使うことが出来ます。薬の中には明確な効果が実証されているにも関わらず、保険が適用されないために一部の人しか利用できないものもありますからこの点は有難いですね。

肝臓病由来のかゆみとの付き合い方

ナルフラフィンという肝臓病を患っている方にとって待望の薬が登場したにも関わらず、未だに肝臓病由来のかゆみに悩まされているという方は多くいらっしゃいます。

 

 

 

これはそこそこ進行した肝臓病患者に対してでないとナルフラフィンが処方されないという現状を考えてみると、残念ながら当然のことと言えるかもしれません。

 

 

おそらく、近い将来には軽度であっても肝臓病を由来とするかゆみを持つ方すべてにナルフラフィンが処方される日が来るのではと思いますが、それまでに必要なのは今感じているかゆみをどうするか、ということですよね。

 

 

 

そんな方のために肝臓病を原因とするかゆみに対して有効な手段をご紹介しましょう。

スキンケア

 

根本的な原因は肝臓にあるとは言っても、実際にかゆみを感じるのは肌ですから、スキンケアを徹底することでかゆみを抑えることは充分可能です。

 

 

 

肝臓病由来のかゆみを抑えるために必要なのは「皮膚を清潔に保つ」、「乾燥しないように肌の保湿を徹底する」の2点が重要になります。

 

 

 

そのためには乾燥する前にこまめに保湿クリームを塗ることや、汗をかいた後放置しないなどの試みが有効でしょう。

エアコンの掛け過ぎに注意

エアコンを掛け過ぎると私たちの肌はすぐに乾燥してしまいます。普通の方であっても酷くなると夏場に乾燥肌の症状が出るほどなので、肝臓病を原因とするかゆみの症状を持っている方の場合は特に気を付けておきましょう

 

 

 

真夏や真冬などのエアコンに頼らざるを得ない季節は設定温度を極力上げ過ぎない、また下げ過ぎないようにすることが大切です。

ぬるいお風呂に入る

 

熱すぎるお風呂は肌を強く刺激してしまうため、かゆみの原因になります。お風呂に入る前はなんともなかったにも関わらず、お風呂に入ったことでかゆみが出始め、それ以降しばらくかゆみが治まらないという場合も多いため注意してくださいね。

 

 

 

また、お風呂上りに保湿クリームを塗るのも重要です。お風呂上りは肌を保湿していた皮脂がほとんどなくなっている状態であるため、なるべく早く保湿しなければかゆみが出てしまいます。

まとめ

内臓の病気は内臓周辺には何ら異常が見られないにも関わらず、その他の部位で自覚症状が出ているということがしばしばあります。肝臓病とかゆみの関係はまさにその代表例と言えるでしょう。

 

 

 

肝臓病を原因とするかゆみを抑制するための薬は少しずつ一般的になっているものの、まだまだ必要としている方に対して充分な量が供給されているとは言い難い状況にあります。

 

 

 

しかし、だからと言って悲観することはありません。ご紹介した肝臓病由来のかゆみと上手く付き合っていく方法を実践すれば、完全にかゆみを消し去ることは出来ないとしても、大幅に抑制することは可能です。

 

 

 

肝臓病を原因としたかゆみの症状を持っているという方で、まだ何も対策をしていないという方はこれを機にかゆみを緩和する方法を試してみては如何でしょうか。